エクスドット
eX.
eX.(エクスドット)は、作曲家・川島素晴山根明季子によって
2007年4月からスタートした現代音楽のシリーズである。
実験性、体験性を重視した通常のライブに加え、
experiment(実験)と称するレクチャーを併催し、多角的に掘り下げる。



eX.

「双子座三重奏団&エクスドット」ツインライヴ


eX.(エクスドット) の2008年度初公演、東京での8 回目の企画となる今回は、
「双子座三重奏団」を迎えての企画となる。
この、トランペット・ピアノ・バリトンという特異な編成によるトリオは、
現代音楽シーンに欠くべからざる存在である
曽我部清典・中川俊郎・松平敬の 3 氏が2004年に一堂に会したことを契機に、
3 人の共通点である「双子座」をグループ名に冠し結成したもの。
2005 年以来、年一度のライヴを開催し、
カーゲル、カーデュー、川島、湯浅、ルシエといったレパートリーに加え、
メンバー 3 人の新作や、伊東乾、鈴木治行両氏への委嘱作品初演、
更には中世や古典派の楽曲までもを網羅する意欲的な選曲を行ってきた。
今回の我々「エクスドット」とのコラボレーションによるライヴでは、
参加する5 人の全員が作品を書き、そして演奏も行う。
きけば、「双子座三重奏団」の命名には、メンバーが演奏と創作の
両方を行うという意味も込められているというから、
この企画は、文字通りの「双子座」企画である。
また、昨年末に亡くなったシュトックハウゼンを偲んで、
12 星座がテーマである《ティアクライス》から
「双子座」をはじめとした関連楽曲を上演。
<live> に先立つ <experiment> でも、シュトックハウゼン研究の
第一人者でもある松平敬氏による、上演曲及び大作《LICHT》の解析を行う。
双子座三重奏団

 曽我部清典 (トランペット) 個人サイト

 6月7日愛媛県生まれ。東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。
 現代音楽のスペシャリストとして内外の新作の初演に
携わる一方、
 上野の森ブラスのコンサートマスターとして吹奏楽関係のファンも数多い。
 今年1月には、パリ、
ローマ、リモージュ、カイロ、テルアビブ、ハイファで
 ソロリサイタルを開催、好評を博した。
 CD「今日までそして
明日から」「透明な孤独」「トキノコダマ」「トキノコダマ2」をリリース。
 幅広い音楽性と鋭い分析力、安定した技巧
で我が国のトップに位置するトランペット奏者である。
 日本トランペット協会常任理事。洗足学園音楽大学講師。

 Brass ExtremeTokyo、Ensemble Contemporary α、東京現代アンサンブル COmeT メンバー。

 中川俊郎 (作曲・ピアノ)

 
6月4日東京生まれ。作曲家・ピアニスト。桐朋学園大学音楽学部作曲科卒業。
 作曲を三善晃、ピアノを故・末光勝世、故・森安耀子各氏に師事。
 70 歳になるジョン・ケージを迎えて行われた「MUSIC TODAY '82(武満徹企画構成)」の一環として
 開催された 10 周年記念国際作曲コンクールで、自作自演で第 1 位。ジョン・ケージにも高く評価される。
 '88 年、村松賞、及びグループ「アール・レスピラン」の一員として中島健蔵音楽賞を受賞。
 現在、日本現代音楽協会理事、日本作曲家協議会理事。CM 音楽の分野でも受賞多数。
 コラボレーションの相手には、邦楽囃子笛方の福原徹、ダンスカンパニー「パパタラフマラ」の演出家小池博史、
 映画「千と千尋の神隠し」の主題歌を作曲し歌っている木村弓、
 「本歌取りプロジェクト」主宰で Cb. 奏者の内山和重、ユーフォニアム奏者外囿祥一郎などの各氏がいる。

 松平 敬 (バリトン) 個人サイト

 5月31日愛媛県生まれ。東京芸術大学声楽科卒業、同大学大学院修了。
 大学院においてシェーンベルクの歌曲について
研究をする。在学中より作曲、即興演奏などにも興味を持ち、
 スコア・リーディング、対位法など声楽家の枠にとらわれ
ない音楽研鑽を積む。
 2000 年よりほぼ毎年、ドイツのキュルテンに於けるシュトックハウゼン講習会へ参加、

 シュトックハウゼン作品の楽曲分析、演奏法について学ぶ。
 2007 年、同講習会での「シュピラール」の演奏に対して
シュトックハウゼン賞を獲得。
 声楽家としてクセナキス、ケージ、シェルシなど様々な前衛声楽曲の紹介を行う他、
 作編曲、合唱指揮、「レコード芸術」誌での CD 評執筆など、幅広い活動を行う。
 現在、聖徳大学、文教大学講師、
日本声楽アカデミー会員。





<live> 2008年6月2日(月)19:00開演 18:30開場
杉並公会堂・小ホール

¥3000 (予約・前売り¥2500)


シュトックハウゼン:ティアクライス(1975 /抜粋)
曽我部清典:月の船
(2008 /初演)
中川俊郎:3人の噪音発生者のための音楽
(1987 / 2008年版初演)
中川俊郎:新作
(2008 /初演)
松平敬:STONE
(2008 /初演)
川島素晴:インヴェンションV b
(2008 /初演)
川島素晴:Das LachenmannU
(2008 /初演)
山根明季子:Transcend-b
(2008 /初演)
ケージ:Five
(1988)

<出演> 双子座三重奏団(曽我部清典、中川俊郎、松平敬)&エクスドット(川島素晴、山根明季子)




<experiment> 2008年5月18日(日)18:00開始〜20:30終了予定
STUDIO 1619 (グリーンSTUDIO)

¥500
(先着20名 予約優先入場制)

シュトックハウゼンのフォルメル技法と《LICHTの概要》
〜《ティアクライス》と《ヘリコプター弦楽四重奏曲》を例として

講師:松平敬


eX.では、2007年にはシュトックハウゼンの《自然の持続時間》日本初演《ピアノ曲X》の上演を行い、
それぞれの<experiment>にて松平敬氏によるレクチャーを併催してきた。
そのような年の12月、奇しくも鬼籍に入ることとなったシュトックハウゼン。
今回ゲストに迎える「双子座三重奏団」のメンバーでもある松平敬氏によって
シュトックハウゼンに関するレクチャーを開催することは、いわば必然の成り行きである。

今回は、数多あるシュトックハウゼンの音楽語法の中でも
とりわけ日本で理解されずにきたと思われる「フォルメル技法」に焦点を当てる。
まずは<live>での上演曲《ティアクライス》の分析などを通じて、その基本を理解する。
続いて、フォルメル技法による最大作品である《LICHT》
(26年間に及んで作曲され上演に29時間を要する畢生の大作オペラ)について概説し、
その中の一部分である《ヘリコプター弦楽四重奏曲》について、詳細を分析する。



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「甲斐説宗の音楽」―生誕70年・没後30年に寄せて

<experiment> 2008年9月20日(土) STUDIO 1619
<live> 2008年9月29日(月)19:00 杉並公会堂・小ホール





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