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eX.(エクスドット)がこれまで開催してきた、世界の現代音楽を紹介する内容については、
日本の音楽界に一石を投じる企画を行ってきたと自負しているが、
17回目となる今回は、ジャチント・シェルシの《山羊座の歌》(1962-85)全20曲、
1時間に及ぶ超大作の、完全版日本初演という、最強の企画をご用意した。
ソプラノ歌手・平山美智子氏が、生前のシェルシ(1905-88)と直接コラボレイトして制作されたこの作品は、
楽譜には書き表しきれない口承による伝達部分も多く、平山氏のみが上演可能ということで知られているが、
今回はもちろん、イタリア在住の平山氏ご本人を迎えての上演となる。
世界中で何度も完全版上演をしてきた平山氏は、日本でもこの作品を上演する機会を得てはいるものの、
今に至るまで完全版の演奏機会がなかったという。
米寿を間近に控えての来日で、長年の悲願を成就して頂くこの場に相応しく、共演者も最強の布陣をご用意した。
全20曲それぞれに工夫が凝らされ、歌手自らゴングやリコーダーを持ちながら歌うもの、
ダブルリードを装着したサックス(大石将紀)との共演、
繊細な倍音変化が求められるコントラバス(溝入敬三)との共演、
打楽器2名(神田佳子、稲野珠緒)との共演によるパワフルなものまで
多彩なパフォーマンスを、有馬純寿による音響で統括する。
更に、「live」に先行して5月28日に開催する「experiment」では、やはり平山美智子氏をお迎えし、
《山羊座の歌》についての解説、及び、生前のシェルシとのコラボレイトについて等、ここでしか聞けない貴重なお話を伺う。
(5月28日につきましては、定員に達しましたので、受付終了しました。)
平山氏はこれまで、当該作品の録音を、WERGOで2回(1982年ん、完全版2006年)行ってきた。
凄絶な存在感と圧倒的なパフォーマンスは、歳経るごとに円熟の極みを見せ、今回の上演も歴史に残るものとなることだろう。
そして、そのお歳と、これまで長年実現してこなかったことを鑑みるに、
日本における完全版上演機会は、最初で最後となる可能性が高い。
何卒、お聴き逃しなく。
平山美智子氏他による、同曲のCD(WERGO 2006年録音版)が、Naxos Music Library で聴けます
平山美智子 Michiko Hirayama myspace | |
1944年東京藝術大学声楽科卒業。 1953年にイタリアへ渡りサンタチェチリア音楽院及びシエナ・キジアーナ音楽院で学ぶ。 その後欧州でオペラ歌手として活動を始めた。 プッチーニ作曲の「蝶々夫人」の演奏回数は100回を超える。 一方、1957年ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院でモーツァルトの勉強を始め、 その後フーゴー・ヴォルフ以後の後期ロマン派のリートから無調、12音音楽の探求へ進む。 ローマにもどってから現代音楽や電子音楽の作曲家たちと交流を深める中で 要求される様々な声を出す必要が出てきた。 それは、うなり声、叫び声、あえぎ声、赤ん坊のなき声、等々、ありとあらゆる種類の音色であり、 その時からその要求に適した発声法の探求が始まった。 そのために学んだ発声法は、日本の伝統音楽はもとより、 チベットのラマ僧のマントラ唱法、インドのラーガ唱法にも及んだ。 彼女の姿勢に触発され、ブーレーズ、クセナキス、ジョン・ケージ、シェルシをはじめとする 多くの作曲家が彼女の声のために曲を捧げている。 このような活動の中で、1962年からシェルシによる歌曲集《山羊座の歌》の作曲が始まり、 数曲ずつ発表されて85年まで続いた。 この完全版は、1993年ミラノ・スカラ座、 2005年ベルリン・フィルハーモニー・ホール(メルツ音楽祭)他、 世界各地で演奏され、大好評を博している。 |
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平山美智子氏をお迎えし、《山羊座の歌》についての解説、
及び、生前のシェルシとのコラボレイトについての講演。