国立音楽大学 講義授業シラバス 2008 (川島素晴)



<担当講義> 楽曲分析 III (前期) IV (後期) 【木曜日 1/2時限】共通選択科目


楽曲分析 III (前期) 共通選択科目

<授業目標>
この講義では、恐らく音楽家を志す学生なら誰でも知っているであろう作品を中心に、各回につき1曲から2曲に絞って分析を行っていく。
授業の進行は通史的に進めるつもりであるが、それは、楽曲分析とは時代様式とのリファレンス無しには語れないものだからである。
「楽曲分析III」の履修を通じて、様々な音楽語法の作品の分析方法を理解することで、
引き続き「楽曲分析IV」では、できるだけ能動的に各自が分析を行う演習的な授業展開を予定している。
この講義を通じて楽曲分析とは何か、ということをしっかり体得して頂きたい。


<授業内容>
一応、各授業で扱う予定の楽曲を並列しておくが、履修学生が他の授業でどのような作品に触れてきたか、ということによって、
フレキシブルに内容を変更する予定なので、下記の記述は、あくまでも授業内容の可能性を示唆する「メモ」と考えられたい。
◆パッヘルベル『カノン』
◆ヴィヴァルディ『四季』
◆J.S.バッハ『平均律クラヴィア曲集』より
◆モーツァルト『交響曲第40番』第1楽章&『41番』終楽章
◆ベートーヴェン『ピアノソナタ第1番』第1楽章&『第8番』
◆シューベルト『セレナード』&『弦楽四重奏曲第14番』
◆シューマン『トロイメライ』ショパン『革命のエチュード』
◆メンデルスゾーン『結婚行進曲』&ヴァーグナー『トリスタンとイゾルデ』前奏曲
◆ブラームス『交響曲第4番』
◆ドヴォルザーク『新世界』
◆ムソルグスキー『展覧会の絵』
◆ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』
◆ストラヴィンスキー『春の祭典』


<成績評価>1:期末試験 2:レポート 3:出席及び平常点

<留意点>
各授業で扱う楽曲は、授業内で全てを試聴する余裕はない。従って、これらの楽曲をわざわざ聴くまでもなく、
履修者全員が既に熟知している前提で授業を進行するので、万が一知らない場合は、可能な限り事前に予習をしておくこと。
また、一応各回ごとにプリントを配付する予定だが、できればそれぞれの楽譜を各自持参することが望ましい。
(これらの楽譜は、音楽家を志す者であればすべからく所持していてしかるべきものと言える。)





楽曲分析 IV (後期) 共通選択科目

<授業目標>
この講義では、著名楽曲を中心に扱った「楽曲分析III」では扱いきれなかった部分を埋め合わせること、
及び、「楽曲分析III」を通じて得たノウハウを活かして、各自が能動的に分析を行うことの、2つを柱にして進行していく。
履修人数によってフレキシブルに手法は変更するが、原則的に1名が1曲を必ず分析し発表する機会を設けることを前提としたい。
(各自が発表する楽曲は任意。ただし他の授業で既に扱っていないもの、各自がその作品の魅力を皆に知らしめたいと思うもの、
 また、その作品が同時代の他の作品と比してどの点で評価できるかを明示できるものとする。)


<授業内容>
各授業では各自が発表するために選択した楽曲の他、「楽曲分析III」で扱えなかった内容を補足する。
下記の記述は、その、補足内容として予定していることのメモである。
ただし、各自が発表内容としてこれらを選択する可能性もあり、その場合は、フレキシブルに内容を変更する予定なので、
下記の記述は、あくまでも授業内容の可能性を示唆する「メモ」と考えられたい。
(発表者の数が多ければ、自ずと下記の内容は割愛されることになる。)
◆民族音楽、グレゴリオ聖歌とおらしょ
◆中世の様々な音楽技法
◆ハイドンの交響曲
◆リスト『ピアノ・ソナタ』とその後
◆フランス国民音楽協会、サティ
◆スクリャービンとメシアン
◆マーラーとリヒャルト・シュトラウス
◆ラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』&ホルスト『惑星』
◆バルトークとプロコフィエフ
◆ガーシュウィン『Rhapsody in Blue』&ラヴェル『ボレロ』
◆新ウィーン楽派
◆ヨーロッパ前衛主義
◆アメリカ実験主義


<成績評価>1:期末試験 2:授業内の発表と、それに基づくレポート 3:出席及び平常点

<留意点>
この授業では、各自の能動的な姿勢が大変重要になる。自分が強く興味を抱く楽曲に対して、真摯に分析し、
それを皆に向けて発表することで、お互いに音楽全般に対する理解を深めていってほしい。