エクスドット
eX.
eX.(エクスドット)は、作曲家・川島素晴山根明季子によって2007年4月からスタートした現代音楽のシリーズである。
実験性、体験性を重視した通常のライブに加え、experiment(実験)と称するレクチャーを併催し、多角的に掘り下げる。

eX.
Young “Composition 1960#7” 3 hours
ラ・モンテ・ヤングの「完全5度の和音をできるだけ長く延ばす」という作品を、半世紀前の初演と同じ3時間、上演する。



eX.(エクスドット)では、これまで様々な企画を実行してきたが、今回は今までで最も「マニア垂涎度」の高い内容と言えよう。
1960年代のアメリカ実験主義音楽を代表するムーヴメントである「フルクサス」のアーティストに共通する
「短いテキストによって演奏行為を指示する」というスタイルは、
ラ・モンテ・ヤングの、「Composition」シリーズ等一連の作品が礎となっている。
そのシリーズ中でも代表的なものであり、且つ、その後のヤングの方向性
(例えば、「ドリームハウス」という、一つの響きを再生し続けているだけの部屋の展示等)
を決定付けた作品、「Composition 1960#7」を上演する。

これは、ロ音と嬰ヘ音による完全5度の和音を「長い時間保持させよ」という指示があるだけの作品である。
(それでも、五線が使用されているという意味で、フルクサスの作品中でも比較的「音楽的」ではあるが。)
今回の上演は、世界初演時
(1961年7月2日、ニューヨークのAGギャラリーにて、マチューナス、一柳慧、オノ・ヨーコ他によるヴィオールの演奏)の上演時間である3時間を予定している。

私は、この作品の生演奏を、1994年のダルムシュタット現代音楽夏期講習会で体験した。
単に響きが保持されているだけの音楽と思うなら、これほど退屈な時間はなかろう。
しかし、微妙な倍音の揺らぎに耳を向けるなら、そこには大変豊かな音楽的時間が存在している。
恐らく1時間程度の上演だったと記憶しているが、終了してもなお、聴き続けたいという気持ちにさせられた。
初演時に行われた3時間という上演時間は、我々にどのような聴取体験をもたらすのだろうか・・・
いわば、今回のパフォーマンスは、18年来思い続けていた私的希望の実現である。

毎回併催しているレクチャー「experiment」は、ライヴ終了後の8月12日に、
当該作品の世界初演に参加した一柳慧氏をお迎えし、初演時の様子やヤングについて、
また、フルクサスのアーティスト達や、今年が生誕100年であるケージ等、アメリカ実験主義の作曲家との当時の交流の様子について、お話を伺う。

なお、8月8日の上演には、下記要領で演奏参加者も募っているので、聴くだけでは物足りないと感じる向きは、是非ご参加を。


eX. 川島素晴



<live> 2012年8月8日(水)18時開演、21時終演(17時半開場、途中入退場可) 杉並公会堂・小ホール

当日:2000円 予約・前売:一般 1500円、学生1000円 全席自由 *ご予約はメール

出演:Vn:辺見康孝、亀井庸州 Vla:安田貴裕 Vc:多井智紀
その他、当日のオーディション(詳細は下記)を経た参加者

*杉並公会堂小ホールをフラットにして、円形に近いランダムな座席配置で使用します。
  聴取環境を途中で変更しながら聴く、演奏者に近づいて耳をそばだてる、等、皆様のご自由な聴取方法でお楽しみ下さい。
*開始時刻に間に合わない、3時間連続は厳しい、といった皆様、ふらっと立ち寄り少しだけ覗いて帰る、というお客様も歓迎致します。
*8月8日午前10時までのご連絡で、ご予約料金にて承ります。


 <8月8日のライヴの上演、参加者募集要項>
・ラ・モンテ・ヤングの「Composition 1960#7」の上演に積極的な興味を持つ出演者を募集します。
・プロアマ、年齢、楽器の種別や音域は問いませんが、3時間の連続上演に耐えられ、
 音色や音量の同一性の保持が技術的に可能であることが条件で、
 原則的に擦弦楽器(エレキベース等も可だが、弓奏が原則)とします。(その他の楽器での参加についてはご相談下さい。)
・2012年8月8日(水)、ライヴ当日の16時より、オーディションを兼ねたゲネプロ(及び演奏指導)を1時間程度行いますので、
 それ以後、終演時刻の21時までのみが拘束時間となり、事前のリハーサルはありません。
・交通費や出演料の支給はありません。また、本公演参加が原因で腕の故障等が生じても、補償は致しかねます。
・ 詳細は、事前のエントリーに対する返信として連絡致しますので、
 参加希望者は、電子メールで件名「8月8日上演参加希望」とし、
 「氏名、年齢、使用楽器とその経験値、その他(意気込み等)」を明記の上、こちら にご連絡下さい。
 8月6日(月)21時まで受け付けます。(8月6日23時までに返信が無い場合は 090-2901-0481 に電話でご連絡下さい。)
・このような段取りの都合上、事前の告知での出演クレジットは出せませんが、
 当日の会場、及び事後にこのページ上にて、お名前を掲出させて頂きます。



<experiment> 2012年8月12日(日)17時〜19時 STUDIO 1619

500円 定員20名(予約者優先入場制) *ご予約はメール

当該作品の世界初演に参加した作曲家の一柳慧氏をお迎えし、初演時の様子やヤングについて、また、フルクサスのアーティスト達や、
今年が生誕100年であるケージ等、アメリカ実験主義の作曲家との当時の交流の様子について、お話を伺います。(聞き手:川島素晴)







<当日配布したパンフレット原稿>
*Internet Explorer で動作確認






eX.