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eX.(エクスドット)では、これまで様々な企画を実行してきたが、
13回目となる今回は、第4回にとりあげたファーニホウ以来久しぶりの、ヨーロッパを代表する作曲家の室内楽作品展となる。
フランコ・ドナトーニ (1927-2000) は、イタリアの現代音楽界随一の巨匠であり、国際的に影響力の強い存在である。
ところが、日本国内ではその重要度に応じた紹介がなされているとは言えない。
事実、没後10年となる今日もなお、日本初演が済まされていない作品が多数存在する。
今回はその一端を垣間見るべく、オートマティズムによる作風を確立した後の1980年代の作品から2曲と、最晩年となった1990年代の6曲、全8曲を一挙日本初演する。
演奏には、フルートの多久潤一朗、クラリネットの菊地秀夫、テューバの橋本晋哉といった、eX. ではお馴染みの面々(それぞれソロ作品を上演)、
昨年のコンポージアムにおけるラッヘンマン作品展での好演が記憶に新しい辺見康孝、亀井庸州、安田貴裕、多井智紀によるカルテットの面々、
そしてそのリーダー辺見とのデュオを通じて現代作品へのアプローチを展開している松村多嘉代を迎え、
ドナトーニ没後10年に捧げる新作を山根明季子により書下ろし、このメンバー8名によって初演する。
プレレクチャー「experiment」では、ドナトーニの作風の変遷を概観し、今回とりあげる作品が書かれた時期に実践された、
ドナトーニの音楽を考える上で最も重要なオートマティズムに基づく作曲技法を、詳細な楽曲分析を通じて紐解く。
ドナトーニ(全曲日本初演)
◆Clair II [cl] (1999) |
◆Che [tuba] (1997) |
◆Duet no. 2 [2vn] (1995) |
◆Small [picc, cl, hrp] (1981) |
◆Small II [fl, vla, hrp] (1993) |
◆Luci [alto fl] (1995) |
◆Luci III [SQ] (1997) |
◆The Heart's Eye [SQ] (1980) |
山根明季子(新作世界初演)
◆Dots Collection No.05 ―フランコ・ドナトーニへのオマージュ― (2010)
[fl, cl, tuba, hrp, SQ]
出演 : 多久潤一朗fl, 菊地秀夫 cl, 橋本晋哉 tuba, 松村多嘉代hrp, 辺見康孝・亀井庸州 vn, 安田貴裕vla, 多井智紀vc,
川島素晴cond
ドナトーニの音楽について概観し、幾つかの作品を分析する。(担当:川島素晴)